自衛隊の災害派遣活動

■日本ではどんな災害でも3日経てば救援体制が整います。支援物資の無償提供をする企業も多く、募金活動で集まる資金支援もあります。
阪神大震災の神戸、新潟県中越地震山古志村では多くのボランティアの人達、自衛隊のサポートが復興に大きく貢献しました。

阪神・淡路大地震の発生時(早朝)、危機管理の薄い村山総理大臣(当時)と、自衛隊を嫌う兵庫県知事は自衛隊災害派遣をすぐには要請しませんでした。世論の中に「もっと早く自衛隊が救援に入ればもっと多くの人が助かったのでは」と批判の声が多くありました。
その時の教訓から今回の中国四川大地震発生直後、四川へ「自衛隊をまず派遣すべき」との人道的な日本人の声は多かったと思います。しかし、自衛隊の災害活動を知らない中国の人々にとっては軍隊のイメージが強く受け入れるのは難かしかったのかもしれません。

阪神大震災以前は、災害派遣でさえ要請がないと、自衛隊は出動出来なかったのが阪神大震災以後は改善され、震度5以上で自主的に出動することが可能となりました。これは大災害の時に本当に頼りになるのは自衛隊だということを意味します。また自衛隊は地方組織の消防、警察と違って、他のどこからも支援を受けずに活動が出来る自己完結能力のある日本で唯一の実力組織です。被災地に入っても寝る所から食事まで、派遣された地域の行政当局から支援なしで活動できます。

新潟県中越地震への自衛隊の支援状況(防衛庁のHPより)
「10月29日22時時点」

1)派遣規模(延べ)/人員約16,100名/車両約3,900両/航空機約330機
2)輸送実績/食料:約47万食/毛布:約38,000枚
3)救助実績/約1,770名
4)給食実績/約145,000食(28日時点)
5)給水実績/約780トン(28日時点)
6)入浴支援実績/約5,800名(28日時点)

■その後・・・
長い間の復興支援ありがとう」──。12月21日、新潟県中越地震災で最後まで被災地に残っていた自衛隊の部隊が被災者の感謝の言葉と盛大な見送りを受けて2カ月ぶりに帰隊した。
10月23日の地震発生後、陸上自衛隊、偵察隊が初動救援に駆けつけ、その後は全方面から救援部隊が被災地に入り、1日最大で4400人が1日4万2000食の提供、7100人の入浴支援、約1200張の天幕展張などを行った。このほか巡回診療や山古志村住民の一時帰宅支援、流木・土砂等の除去、被災家屋からの家財の搬出、倒壊家屋の撤去なども行った。
海上自衛隊は、MH53Eヘリによる救援物資の空輸などを担当、航空自衛隊はヘリ部隊が人命救助や救援物資空輸と給食支援を行った。

■3自衛隊合わせた支援実績

1)給食:115万6000食
2)給水実績:約1030トン
3)入浴支援:約16万7000人
4)設営した自衛隊天幕:1200張
5)倒壊家屋撤去:40軒
6)派遣規模は延べで人員:約12万7700人
7)車両:約4万6800両
8)航空機:約1790機


○ これだけの被災者に対する支援が可能な組織は日本においては自衛隊以外にはありません。

■また、狭い自動車内での避難生活が続くと「エコノミークラス症候群」となり死亡するケースがあるので、自衛隊は被災者に足を伸ばして就寝してもらうために6人用テントを設営し、温かい食事を作ったり(給食支援)、お風呂の設営(入浴支援)を行うなど、被災者の立場に立って活動しました。
                

■TVニュースによると日本政府サイドの話では、5月27日「中国の武官」(政府高官)から「追加支援がほしい。その時、(物資を運ぶのは)自衛隊であっても構わない」との要請を受けて、C130輸送機5機を3日間8便でテント200張、毛布3600枚などの支援物資を成都四川省)に直接輸送する方向で調整を進めていた。中国側の正式要請があれば、防衛相が航空自部隊に派遣命令(国際緊急援助隊派遣法に基づいて)を出し、第1便3機が24時間以内に中国に向け離陸。またテント設営の要員として陸上自衛隊から6人、統幕から30人派遣することも検討。
しかし30日になって「中国政府内の手続きが終わらないままの要請だったようだ」(政府関係者)と中国への緊急支援物資輸送のための航空自衛隊機の派遣を見送り民間のチャーター機で、テントや毛布などを運ぶことに変更された。30日、被災地に対し追加支援の第1弾として最大5億円分の支援を決めた。今週初めにもテント1200張りを民間チャーター機で届ける予定。政府以外の自治体や企業・団体などからもテントなどの無償提供の申し出がありさらに支援物資を送る考え。浄水器や医薬品なども提供する方針。

※今回はテントの輸送は民間機になりますが、私個人的な意見では「自衛隊が救援活動を含めて被災地の復興の支援が出来たらいいのに」と思いました。震災後の混乱した中できっと自衛隊の震災支援の経験が生かされる筈ですから。だけど、中国の被災者のニーズが最優先ですからね。

参考までに

※ 阪神・淡路大震災(M 7.3)【1995年1月17日午前5時46分】
死者6,434人 ,負傷者 43,792人

※ 新潟県中越地震(M6.8)【2004年10月23日17時56分】
死者68人 ,負傷者4,805人

明日、英語に直します^^;